(書評)イベリコ豚を買いに

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知人に勧められて読んだ「イベリコ豚を買いに」は、ノンフィクションの食に関する紀行ではなく、事業開発屋の私にとっては、新規事業開発のビジネス書でした。

農水産物領域での新規事業開発を考えている人には、是非ビジネス視点で読んでいただきたい1冊です。

内容紹介(Amazon.co.jpより)
謎だらけのイベリコ豚を追ってスペインへ! 「本当にどんぐりを食べているのか?」「イベリコという町はどこにあるのか?」「安売りセール肉は本物か?」……。 レストラン、スペインバルはもとより、今やコンビニ、回転寿司でもごく普通に売っているイベリコ豚。高級食材として知られているはずのものが、いまや日本 全国で手に入るのはなぜか?そもそも、イベリコ豚はそんなに沢山いるのだろうか? 著者はそんな素朴な疑問をいだき、取材を始めた。日本人が知らないイベリコ豚の「真実」を明らかにすべくスペインを目指した著者。幾多の困難を乗り越え、 現地に辿り着いた著者を待っていたのは、驚きの連続だった。……。 ローマ時代の遙か昔からスペインで幻の豚を守り育ててきた熱き男たち。そして素晴らしい生ハム作りに命を捧げる職人たちとその家族のドラマを紡ぎながら、 知られざるイベリコ豚の生態、そして食肉流通事情を解き明かしていく。さらになりゆきでハム作りにも携わることになり……。 多様なジャンルをテーマに、多くの傑作ノンフィクションを世に出してきた著者がスペインと日本を舞台に描く、読み応えのある食ノンフィクション。

ひょんなことから、作家が、イベリコ豚に入れあげ、イベリコ豚を輸入し、商品化し、販売するまでを描いているのですが、素人がビジネスを作り上げるまでのプロセスや絶対にはずせないポイントまで、見事に描かれている点が、ビジネス書として読むのに面白いです。

私のように実際に商品開発をし、マーケットに出すまでをやっている人間からすると、当たり前のポイントが多いのですが、専門領域だからこそ知らない点もいろいろと出てくる。

生鮮食品、しかも肉という領域で商品を作って販売するとなると、こんなことまで考えないとダメなのね

という点が新鮮。

しかも、すべての事業開発に言える点を、すばり指摘しているのも、この本の面白いところです。

例えば、精肉店が生き残る戦略について。

デリカとして生き残る道。卸売に活路を見出すケース。量販店への転換。

この3つを戦略としてあげ、そして、それで生き残るケースがあがっています。

先日、化学品メーカーの生き残り戦略についてお客様先でお話したのですが、それと非常に似ています。(若干異なるけれど)

事業開発をする際に考えなければいけないポイントが、”肉”という現場でも変わらない。

そして、仕事の本質をついている。肉を仕入れることだけでなく、試作品づくりを何度も繰り返し、味を安定させて量産する方法を考えだし、税関の手続 きを考えて…(以下略。本書を読んでください)と様々な作業が発生してくることについて語っているところでは、次のような文が出てきます。

仕事の本質とはアイデアや新製品を考えつくことではない。アイデアを製品にするために日々行う地味な作業とそれに関わる関係者の連作、打合せである。(P198より)

事業開発もまったく同じです。が、アイデアがないと事業開発は始まらない。スタートはアイデアで、そのあとは極めて地味なプロセスが続き、それをやり遂げるところからのスタート。そして、多くのケースが(事業開発の成功率は5%前後と言われている)失敗に終わる。

それの積み重ねなんですよね・・・

第8章の「プロと素人」は、ビジネスを遂行していく人間として、噛みしめて読んでもらいたいと思いました。

引用したいところがこれだけたくさんある本に出逢えて、とても嬉しいです!!

気になる方、是非チェックしてみてください。

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