『日経xwoman Terrace』寄稿:産み時の正解は「ない」
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私は、42歳で出産し、現在子育て中です。
30代で大手企業の本部長職に就いたこともあり、「キャリアを築いてからの出産を決めたのか?」と聞かれることも多いですが、答えは、NO。
子どものころから、いつかは子どもを産むんだろうなぁと漠然と考えていました。就職後、体力のある20代で子どもを産んだほうがいいというアドバイスを先輩方から受け、妊娠を考え始めたときに、妊娠。マネジャー昇進前で、仕事をうまくこなせるようになってきたタイミングだったので、いい時期に妊娠できたと喜んだのものの流産。そして、30代も流産を繰り返しました。
30代半ばに、ガンガン仕事をしている私を心配した産婦人科のかかりつけ医から、「子どもが欲しいならもっと積極的に治療しないと」と言われたときに、「本当に子どもが欲しいか欲しくないか私はわからないです。子どもがいたら幸せだろうし、子どもがいなくても幸せに生きていけると思います」といい、自然に任せようと決めました。産まれなかったらそれでもいいと。産まれた時が、私の産み時なのだと思ったのです。
とはいえ、部下の産休・育休後の職場復帰をサポートしながら、「私はこのまま出産しないのかなぁ」と思ったことは一度や二度ではありません。でも、自分が積極的な治療をしてまで、子どもを手に抱きたいと思えなかったのです。
30代後半に海外子会社の社長のポジションを会社から提示された際に、単身赴任を考えていたところ、夫から「子どもが欲しい。海外へ君だけ行ってしまったら、子どもを持つことを諦めなければならなくなる。最後のチャンスだから本気で考えてほしい」と懇願され、また両親の介護が始まったこともあり、家族のそばにいようと決めて、転勤を断り退職、独立。
とはいえ、なかなか妊娠せず、それから1年以上してやっと妊娠。夫が狂ったように喜びましたが、流産。その時に、「私は子どもがいなくても幸せな人生を築けると思う。あなたは積極的な治療を望んでいるけれど、私はそれを望まない」と妊活終了宣言をし、また海外出張をし始めたときに、妊娠。双方の親族にも周囲にも一切告げず、子どもが生まれても助かることが明らかになったタイミングで、周囲に告げました。
そんなわけで、いろいろと決められなかった私は40代で子育て中です。
そして、友達や自分のことを考えてみると、どれだけ自分が戦略的に考えようが準備しようが、妊娠・出産というのは、思い通りにコントロールできないものです。
だから、産み時の正解は「ない」と私は思います。
妊娠し、出産に至ったときが、自分の産み時だと思います。
子どもが欲しいのであれば、早くに妊娠を考えましょうという記事をよく見かけます。確かに、女性の体には出産可能な時期があり、その時期を逸してしまうと出産は非常に難しくなっていきます。でも、私のように、妊娠が継続できなかったり、30代半ばになっても、どうしても子どもが欲しいと決めることができない人もいると思います。もし子どもが欲しいと思って、治療したとしても、子どもを持つに至らないケースもあります。
だから、戦略的にコントロールできないことなのだと割り切ることも大事なことではないでしょうか。