(Art)ユベール・ローベル―時間の庭
少し時間があったので、国立西洋美術館で行われている「ユベール・ロベール―時間の庭」を観てきました。
(国立西洋美術館より)
ポンペイやヘルクラネウムの遺跡発掘に沸いた18世紀、フランスの風景画家ユベール・ロベール
(Hubert Robert
1733-1808)は「廃墟のロベール」として名声を築きます。イタリア留学で得た古代のモティーフと、画家の自由な想像力とを糧に描き出されたその風
景では、はるかな時をこえて古代の建築や彫像が立ち現われる一方、あふれる木々の緑や流れる水、日々の生活を営む人々がコントラストを成しています。古代
への新たな関心を時代と共有しつつ、独自の詩情をたたえたロベールの芸術は多くの人々をひきつけ、時の流れや自然、そして芸術の力をめぐる思索と夢想へ
誘ってきました。
こうして描かれた奇想の風景は、「国王の庭園デザイナー」の称号を持つロベールが数々の名高い風景式庭園のデザインも手がけ、現実の風景のなかに古代風建築や人工の滝・洞窟などを配していたことを知れば、さらに生きた魅力を持ちはじめることでしょう。
本展では、世界有数のロベール・コレクションを誇るヴァランス美術館が所蔵する貴重なサンギーヌ(赤チョーク)素描を中心として、初期から晩年まで、ロ
ベールの芸術を日本で初めてまとめて紹介します。ピラネージからフラゴナール、ブーシェまで師や仲間の作品もあわせ、ヴァランスの素描作品約80点を中心
に約130点にのぼる油彩画・素描・版画・家具から構成されます。
自然と人工、空想と現実、あるいは想像上の未来と幸福な記憶を混淆させ、画家が絵画と庭園の中に作り上げたアルカディアの秘密に迫ります。
アルカディアの秘密に迫るとあり、確かにきれいな作品が多かったのですが、なぜか一番心をうごかされたのが、
順調な画家生活を送っていたロベールが、1789年に始まったフランス革命で、1793年から94年まで投獄されている最中に、生活の資を得るためにお皿に描いた絵でした。
ただのお皿なのに、心臓が捕まれたように、ドキッと突き刺さるものがありました。
アルカディアの秘密をみてしまった、そんな気分になりました。
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