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慶應の夕学五十講で開催された樹木希林さん講演会「老いの荷物は神の賜物」に行きました。

妹さんが琵琶を弾きながら、樹木希林さんがホイヴェルス神父の「最上のわざ」を朗読してくださりました。琵琶を弾くご家庭だとは知りませんでした。うちの母方の祖父も琵琶の達人だったそうで、彼が使っていた琵琶が我が家に飾ってあります。こうして琵琶の音色を聞くと、胸がぎゅーっと締め付けられる感じがします。

 「最上のわざ」
 この世の最上のわざは何?
 楽しい心で年をとり、働きたいけれども休み、しゃべりたいけれども黙り、失望しそうなときに希望し、従順に、平静に、おのれの十字架をになう。
 若者が元気いっぱいで神の道を歩むのを見ても、ねたまず、人のために働くよりも、謙虚に人の世話になり、弱って、もはや人のために役だたずとも、親切で柔和であること。
 老いの重荷は神の賜物、古びた心に、これで最後のみがきをかける。
 まことのふるさとへ行くために。
 おのれをこの世につなぐ鎖を少しずつ外ずしていくのは、真にえらい仕事。
 こうして何もできなくなれば、それを謙虚に承諾するのだ。
 神は最後にいちばんよい仕事を残してくださる。
 それは祈りだ。
 手は何もできない。
 けれども最後まで合掌できる。
 愛するすべての人のうえに、神の恵みを求めるために。
 すべてをなし終えたら、臨終の床に神の声をきくだろう。
「来よ、わが友よ、われなんじを見捨てじ」と。
*春秋社『人生の秋に』 ヘルマン・ホイヴェルス著より

備忘録として、この素晴らしいホイヴェルス神父の言葉を残しておきます。

樹木希林さんと言えば、乳がんを患われたことが知られていますが、病気も神様から頂いた賜物、マイナスの出来事がマイナスになっていかない、自分をさらけ出すことで自分が客観的にみられる俳優という仕事に出会えてよかったとおっしゃっていたのが印象的でした。

男性の役割と女性の役割は異なるので、女性の適性が分かってから、何があっても苦労が無いとおっしゃっていましたが、度重なるワイドショーでのご主人の振る舞いはどう思ってらっしゃるのかなぁと思っていたら、質問タイムに質問をされていた方がいらっしゃいました。でも、さらっと、すみませんねぇ、とおっしゃっていたのにビックリしました。本当になんとも思ってなくて、自分が選んだ人だから、自分で面倒みるって思われてるんだなぁと、その境地に達するまでに、どれだけの苦しみを超えたのかしら?と思ってしまいました。

先日ここでカミーユ・クローデルの映画のレビューを書きましたが、樹木希林さんがカミーユの弟のポール・クローデルの「私がどうしても滅びてほしく ない一つの民族があります。それは日本人です」.を引用され、日本人であることを大事にしてほしいというメッセージを出されていたのにも、じ~んと心の奥に響きました。

貧しいけれども高貴であると言われた国民に生まれてよかったと思える人生にしたいですね。

樹木希林さんの講演でたくさんの元気を頂きました!!

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