人はどのように依存症になるのか?~アルコール中毒の経歴を持つ著者が描く「依存症ビジネス」
昨年末に、依存症治療薬の治験が始まったので、治験審査委員としてちゃんと勉強しようと、関係資料を読み漁る日々が続きました。
備忘録としてメモを作っていたのですが、その一部をFacebookで呟いたところ、友人たちからブログにまとめて~と言われたので、そのご要望にお応えします。
とはいっても、あくまでも私の備忘録なので、興味のある方は、自分で調べてください~
依存症には、大きくわけて3つあるそう。あらゆる物事が依存の対象になるらしいので、どうやら3つに分けるという人もいれば、3つにわけるけれど、違う分類にする人もいるらしいのですが、私は、以下を自分の頭の中にインプット。
- 物質依存症: たばこ、酒、ドラッグなど
- プロセス依存症: 仕事、ギャンブル、浪費、ゲーム、自傷、買い物、インターネットなど
- 関係依存症(共依存症): DV、恋愛など
快楽刺激が来ると、エンドルフィンが放出され、受容体を刺激し、ドーパミンが放出されて、いい気分になって、それを繰り返すために、中毒になっていくそう。
標的分子は、依存性物質によって異なります。
やはり依存性物質によって、受容体が異なっていることが分かります。
今までアルコール依存症などの依存症は、きっぱりやめることが唯一の治療法と言われていて、特に米国ではその傾向が強かったのですが、最近は、減量法というやり方も出てきているそう。このあたり、お国柄の違いが大きいなぁと、いろいろと調べていると感じました。薬を使い、このドーパミンを出させないようにして、快楽が得られないようにすると、量が減らせるというメリットがあります。すべてのことが楽しくなくなりそうですが、少なくとも「量を減らす」ことによって、社会的に壊滅的な状況になるのを避けられるメリットがあるように思います。こうして、量を減らしていくことで、依存症から脱却できるのか。今回の治験は、こういう点の評価が非常に興味深い。
このあたりまでが前置きで、ここからは、依存症で調べていた時に、ビジネスに関係する本も出てきて、それをよんだら面白かったので、その本のレビューも載せます。
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iphone、カップケーキ、鎮痛剤の事例から本はスタート。アルコール中毒だった著者が、企業がいかにして自社製品漬けにさせようとするか、その仕組みについて説いています。そして、それらが、MDMAやヘロインと同じ依存物質と同じものだと「気づかせて」くれます。
依存をビジネスの仕組みとして「ざっくり」学びたい人には、この本がおススメ。「ざっくり」と書いたのは、ここに書かれていることだけでは、「依存するビジネスモデル」を作るには、足りないからです。イントロ的にはいいと思います。
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ドラッグの歴史については、こちらの本が網羅していています。10年ほど前に読んだ本ですが、今回、この勉強をするために、もう一度読みました。
砂糖が世界に普及する過程が類似しているのは、いわずもがな。タバコやアルコール、コーヒーまでドラッグと位置付けていて、どのように発見され、貿易や権力争いに使われていったのか、生体系や社会体制を変えていったのかということが、詳しく書かれています。
「大観園の解剖」まで読んでいるところが、学者が書いているなぁと関心してしまったポイントで、ちょっと関心ポイントがずれているなぁと、我ながら自分にあきれました。10年前に読んだ時にも、同じことを言ったような気がします……
ドラッグ(お酒、たばこを含む)をやめたい!!と思う人は、もしかするとこの本が一番ドッキリくるかもしれないなぁと思いました。
ビジネスとして、ある程度の依存性のある物・サービスを作る上では、どのようなプレイヤーが出現するのか、知的層の人たちの反対をどうマネージしていくか、など、ビジネスを作り上げていく上での論点を抽出できます。
ちなみに・・・・・ 私は、お茶も砂糖も、その依存性を分かった上で、たしなむことをポリシーとしています。こういうものを読んでも、自分のポリシーは変わらない。やっぱり、ある程度の快楽は欲しいですね。
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