シャープ、米子会社300億円で売却へ 欧米から太陽電池撤退
2014年12月7日の日経新聞「シャープ、米子会社300億円で売却へ 欧米から太陽電池撤退」によると、リカレント・エナジーをカナディアン・ソーラーへ300億で売却するそうです。7月にイタリアの太陽電池精算会社の株式譲渡を決め、9月にパイオニア株を売却するなど、保有資産の売却を急いでいるシャープ。このリカレント・エナジー売却で、欧米の太陽電池事業から撤退することとなります。
私もリーマンショック後、務めていた企業の保有資産の売却をものすごい勢いでやったことがありました。売却は、必ずしも自分たちが望むタイミング(時期・金額等の条件)には合わないのですが、合わない中で、どういう優先順位で売却をしていくかの戦略と条件をしっかり決めることポイントだと思います。
リーマンショック当日、会社をどのように立て直し、成長させていくかのプランをNYに向うバスの中で作ったのですが、その時に、もっとも重視したのが、成長戦略。資産売却によって、「止血」と「投資の元手を入手」し、収益の柱となる事業への投資や育成に集中するのは、当然のことですが、成長戦略がベースにないと、売却をやっても、かなり苦戦をします。
しかし、最近のシャープを見ていると、この成長戦略が骨太で無いように感じています。市場もそれを感じているのか、株価は伸び悩んでいるようですね。
「来年の3月までに確固たる成長戦略が無ければ社長交代もありうる」と、読んだのですが、短期で社長交代が続くのは、あまり望ましくないと私は考えています。
こんなニュースが出た矢先、2014年12月11日にソフトバンクアカデミア開講記念特別講演で孫正義氏が、「退却できない奴はケチ、意地でやる奴はバカ」 孫正義氏が説く、会社を潰すリーダーの特徴(ログミー)を講演。
私の中では。退却できない奴、車で言えばブレーキの付いてない車が、どれほど危険か。バックできない車がどれほど危険かということですね。
おっしゃっていることは、まさにその通りなのですが、実際にそれをやるのはものすごく大変です。会社にとってその事業から撤退をすると決めても、数万人の社員がいます。適切な先に売却できない、売却額の合意が達成できないなど、スピーディーにできない場合も多々あります。
そのときにどう本体を持たせながら、それをやり抜くか。
どちらかというとそちらがうまくいかず、撤退が決断できないように見えるケースの方が多いのではないでしょうか。
私自身、マネジメントが売却を決定した後、その売却を担当したことがありますが、なかなか思うように売却先が見つからず、株価は下がるわ、新聞には書かれるわ、マネジメントからのプレッシャーはあるわ…… と、辛い辛い日々を送ったことが何度もあります。そして、そこから抜け出すには、戦略に基づいて、本体を持たせながら、なんとか売却に持って行くしかないのです。分かっていても、けっこう辛い時期に、事業開発担当者としては、「しつこい人が最後は勝つんだ!」と自分に言い聞かせて、売却先を探すしかないんじゃないかと思います。
今回のシャープの発表も、「やっと売却決断か」と思った人と、「やっと適切に売却できる先が見つかったんだ」と思う人と、両者いるのではないかと思います。孫正義さんの講演記録と合わせて読むと、いろいろと考えるきっかけになるニュースだと思いました。
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