【本】伝統のイタリア語発音〜オペラ・歌曲を歌うために〜
ルイージ・チェラントラ先生と小瀬村幸子先生の共著「伝統のイタリア語発音〜オペラ・歌曲を歌うために〜」を使って、イタリア語の発音を勉強しています。今まで、語学学校に通ったり、スザンナ・リガッチ先生に発音を直してもらったり、「歌うイタリア語ハンドブック」を活用したりしていたのですが、徹底的にやりたいなと思っていたところに、この本を見つけました。
内容(藝大出版より)
本書は、オペラ・歌曲を歌うためのイタリア語発音を身につけていただくことを願って作成された、CD2枚付のテキストです。
声による音楽表現では当然、声が最重要です。しかし、書中にも記しているとおり、オペラでは始まりの時から、歌うことと言葉を表現することがともにかなう歌唱が求められ、模索されたため、声楽の勉強には言葉も抜きにすることはできません。また、オペラや歌曲の言葉はほとんどが詩の形、つまり韻文になっています。そこで歌唱のためには韻文の発音を修得する必要もあります。
本書では、イタリア語の韻文の伝統に則った発音を基本に、日本語との比較も交えながら、CDに従ってイタリア語の母音、子音のそれぞれの音、単語、詩句、さらに既存のオペラ・歌曲の発音を知り、練習できるように考えられています。CDによる反復練習で、歌唱にふさわしい伝統的なイタリア語韻文の発音が独学でも身につくことでしょう。
テキストでは、音声学や韻律学を学ぶことが目的ではなく、発音を学ぶことを目的としていますので、そうした複雑な説明はせず、また、イタリア語に関する知識の程度に関係なく読んでいただけるように作成されています。
発音を中心にプログラムが作られており、CDも「ではここから始めましょう〜」などのアナウンスは一切なく、どんどんレッスンが進んで行くというそっけない作りなのですが、中身がしっかりと構成されていて、学習を本気でやりたい人向けに作られている点が気に入っています。
今年の夏に出ていた国際コンクールでも、表彰式の時に、先生方から「もっと発音を意識するように。これではイタリア語やフランス語、ドイツ語に聞こえません。いくら声がよくても、あなたが歌っているのはオペラです」と言われ、やっぱり発音の勉強をやり直そうと思っていたので、こういう濃い中身で、発音メインでばしばしやってくれる教科書はありがたい限りです。
先日のコンサートでイタリア絵画のキュレーターの方から、「イタリア語の発音、特にQuel guardo il cavaliereがものすごくキレイで、日本人なのに勉強している方だと思いました」と声をかけていただいた時にはとても嬉しかったです。この曲は渡辺誠先生のところで4時間もレッスンされたり、スザンナ・リガッチ先生の十八番で、その先生に見ていただいているので当然といえば当然なのですが、今回のこの勉強が少しは役に立ってるのかな?とも思いました。
歌をやっている人だけでなく、イタリア語を勉強していて発音をもっと改善したいという方にもおススメの1冊です。
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