川のささやき 〜辻井伸行サントリーホールLIVE!〜

Photo_2アメリカテキサス州フォート・ワースで行なわれた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールにおいて優勝した話題のピアニスト、辻井伸行さんの1年半ほど前にサントリーホールで行われたコンサートのDVD「川のささやき 〜辻井伸行サントリーホールLIVE!〜」を見ました。

内容(「キネマ旬報社」データベースより)

「報道ステーション」「題名のない音楽界」出演で話題沸騰の天才ピアニスト・辻井伸行のリサイタルDVD。彼がもっとも愛するショパンの楽曲「子守唄」「スケルツォ第2番」、ベートーヴェンの名曲中の名曲「月光」「熱情」ほか全6曲を収録予定。

ベートーベンの「月光」は大好きな曲。彼が弾くと、本当に熱い。
本人の努力も大変なものだろうけれど、ご両親もすごいと思います。お母様の書いた「今日の風、なに色?」と「のぶカンタービレ!」を読んでいる最中なのですが(読み終わったら記事アップします)、子供の才能を早くに見抜き、これで生計が立てられるようにしようと決め、そして、全力でバックアップする。成長に合わせてピアノの大きさを変えて行くっていうのは、バイオリンでは当たり前ですが、ピアノでするの!?と、びっくり。全盲というハンディをおっているからこそ、なのだと思うのですが、一人のピアニストが誕生するまでに、才能だけではないものを、その演奏を通じても伝わってきます。
今回、このDVDを購入したのは、ある理由からです。少し長くなるのですが、1人の意見として書かせていただきます。
最近、私の周囲の音楽家の間では、彼を心配する声もたくさん出ているのですが、私も彼を心配する一人です。
すばらしい演奏をします。が、やはり、まだ若い身。勉強をしながら、演奏活動もしていかなければ行けない。勉強をする時間をどれだけ取れるかで、まだ若い彼のこれからが決まります。自分を売るために、マスコミに出なければいけない。でも、それをやり過ぎてしまうと、どんどん自分の時間がなくなってくる。勉強の時間が減る上に、コンディション調整ができなくなる。しかも、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールは、入選者はかなり多くのコンサートをこなさないといけないため、体力的にもキツい1年が待っています。演奏するチャンスを与えてもらえるけれど、それをモノにするもしないも、体力を含めた本人次第。つぶれて行く若い演奏家も多いです。
#数年前に、観客の誰もがこの人がダントツ1番と思ったピアニストが居たのですが、その人は持病があり、体も弱かったため、結局、大差だと観客が思った2番目の人と、1位2人という結果になったことがあります。その後のコンサートツアーを考えると、主催者側の意図は明確でした。案の定、ダントツ1位だったピアニストは、ツアーのはじめで体力的な問題でドロップアウト。
その点、ショパンコンクールで優勝したユンディリーは、素晴らしいバランス感覚で、ショパンコンクールの後を過ごしたと思います。(きっと周囲によきアドバイザーが居たのだと思いますが)CDを出し、売上を手にして、留学し、勉強のために、おこもりしてしまいました。そして、時期を見て、コンサート活動を開始。素晴らしいピアニストに育っています。
だから、辻井さんの音楽を愛する者に出来ることは、TVのインタビューなどで彼を見ることではなく、少しでも、音楽に集中できる環境になるようにすること、つまり、DVDやCD、本を買うことで、彼に(彼の家族に)印税が入るようすることなのではないかと思うのです。そうすれば、お金の心配をすることなく(今現時点での)、音楽に専念できます。また、それが将来の彼のキャリアにもなるのです。もう十分に彼の知名度はあがったのですから... 
..長くなりましたが、そういう理由で、買いました。
そして、ライブを見ながら、彼のこれからの音楽家としての成長を楽しみにしているのでした。


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コメント

    • 福本智子
    • 2009年 7月 08日

    まったく私も同じ意見です。潰れない様に周りの人々がどうぞ守ってあげてください。私もCD,DVDを買いました。辻井さんには、長く、長く成長して頂きたいです。心を揺さぶる音色、何回聞いても涙があふれてきます。
    これを守ってあげてほしいです。つぶされない様にお守りください。

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