食物アレルギーの栄養指導

先日、アナフィラキシーショックを起こして、大騒ぎになりました。

数日前から体調は悪く、全身に蕁麻疹が出始めていたものの、「なんだろーね~。台風14、15号だろうねぇ~」と気楽に考えていたのですが、食事を終え、シャワーを浴び始めたら呼吸困難に。全身が真っ赤に腫れあがっていて、どんどん意識がもうろうとしていき、血圧が急低下しているのが分かるほどふらふらしました。

びちゃびちゃのままシャワーからリビングに出てきて、サルタノールを吸おうにも、なかなかうまく吸えず。

ちょっぴり吸えたので、自宅にある経口ステロイドを飲み、様子を見ながら病院へ行きました。

で、原因がなんだったのか、今一つはっきりしないまま、まずは、生きることが一番大事と先生に言われて、そのままステロイドと抗ヒスタミンの治療へ。

「あんまりたくさんステロイド使いたくなかったんだけど…」と、ぼそっと言ったら、先生から「3時間遅かったら死ぬんだぞ!!」と激怒されてしまいました。ごめんなさい。。。

さて、病院から出てきて最初にしたこと。それは、アレルギー関連の本や論文を集めること。

ニッケルやスズなどの金属アレルギーも発覚し、このアナフィラキシーショックの状態がマシになったら(ようやく今日くらいから赤味がひき始めて、炎症の後で皮膚が剥けてきましたので)、完全除去をしばしやるので、そのための勉強もしないといけなかったのですが、今回は先生は食物じゃないと思うと言っているけれども、私には心当たりのある食物があるので、それじゃないかと危惧しています。

本格的に論文をひっくり返して調べるぞっ! と意気込む ヽ(´▽`)/

Photo_820冊くらいの本と100以上の日本・欧米のアレルギーと食事・栄養指導の論文を読んだ結果、一番参考になったのが「食物アレルギーの栄養指導」海老澤元宏 監修/今井孝成・高松伸枝 ほか編 という本です。

何がそんなに良かったのかというと、食物アレルギー診療の歴史を振り返り、不適切な治療の背景として、原因食物の除去に関し、過敏症状惹起の可能性がある食品として、生物学的分類が近い食物、IgE結合能から共通アレルゲン性の可能性のある食物、原因食物が少量含まれる加工食品が、除去の対象とされていること。

私も先生から言われたもので、「えー、それ除去したらどーやって生活するんだ!?」と思うものがあげられており、周囲から「もうけりぃちゃんとはごはんいけないね」なーんて言われて、ちょっとへこんでおりました。

この本を読みながら(他の論文もそうなんですが)、適切な排除の仕方を学ぶことが最も重要なことだと改めて思いました。

そういう意味で、生活しやすいQOLを重視した治療ができるというのは、アレルギー患者にとっては、とっても大事なことで、この本はその目的に合致しています。

残念なことに、幼少時期を対象にかかれているので、私のような成人には当てはまらないものもあるのですが、基本的な考え方としては、非常に参考になります。

たとえば、大豆製品除去となっても、みそやしょうゆを除去する必要は限りなく低く、その理由として、アレルゲンとなるたんぱく質が発酵の段階で分解されてしまうということについてなどの事例が豊富です。

私の食生活も想像以上に「ふつうの人っぽい」状態に持って行けそうですし、外食もそれなりにできそうと思えます。こういう細かいところへの気配りは、患者及びその家族や周辺の人々のQOLをあげる上で重要になってくると思います。

Guideline_food05_2日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会が出している「食物アレルギー診療ガイドライン2012」も参考になりました。

2005年に発刊されてから、6年たってやっと(?)改訂されたもののよう。

ガイドラインが発刊されるということは、研究がどの程度進展しているのか、エビデンスがどのくらい集積されているのかは、推測できます。

標準的な治療がどうなのか。

とかく、自分しかわからないことが多いので、こういう基礎知識をしっかりと身につけることが、患者にとっても大事だなぁと思わざるを得ないです。

私のように、医学書や医学論文を仕事柄大量に読んでいる人間には読みやすさはあまり気になりませんが、私の家族は、「なんだか小難しい」と言っているので、一般人にも分かりやすい説明が今後求められるのかもしれません。小難しくても、食物アレルギーについて勉強したい人にはおすすめです!!

さて、今回私が起こしたアナフィラキシーショックの原因は多分野菜です。この野菜について、わかりやすくかかれているのが、一番最初に記載した「食物アレルギーの栄養指導」です。P37の解説を読むと、花粉・食物アレルギー症候群に関連する交差抗原性というところで、私が疑惑のまなざしで見ている植物が出てきます。私がその関連の植物にひどいアレルギーを持っているのは分かっているので、これがどうも怪しい... そして、心当たりがとてもあります。

こういう知識があれば、「おぉ、これが原因か!?」と、原因特定もできるのですが、そうでなければ、「いったい何が原因なの!?」と不安でいっぱいになります。

事実、私は病院から出てきて、あまりの怖さに(アナフィラキシーショックはとってもショッキングな出来事だったので)、白いごはんに塩かけて食べてました。それ以外は、水しか飲まない。だって、絶対に安全な食事なんてわからないんですもの!

家族もドキドキしちゃって、「いったい何を食べたらいいの?」と私と一緒にやっていました。

こうやって勉強し、わかることで、これが原因だったか!と、ひどいアレルギー症状を起こすものを特定し、検査し、そして、除去していくことで、安心して暮らせます。

ちなみに、ここのページに記載されている文献の論文をあたっていき、さらにそこで参照されている論文を探していったところ、非常に参考となる文書を見つけました。備忘録として載せておきます。

参考論文リスト

  • ILSIアレルギー・免疫学研究所(AII)が国際食品バイオテクノロジー協議会(IFBC)が共同で作成したレポートから。
  • 第5章 アレルゲン性食物
    著者: Susan L. Hefle, Julie A. Nordlee, and Steve L. Taylor
    Food Allergy Research and Resource Program, Department of Food Science, University of Nebraska, Lincoln, Nebraska (元の文書の日本語がEUCエンコードとなっているので、文字コード表示を変えて表示してください)

    表2 発症頻度の少ないアレルゲン性食物と食物群のリストがあります。これは、何を食べていいのかわからなくなったときに参考になりそう。

  • 第7章 食物アレルゲン
    著者: Robert K. Bush and Susan L. Hefle
    Williams S. Middleton V.A. Hospital and Department of Medicine and Food Research Institute, University of Wisconsin, Madison, Wisconsin; Food Allergy Research and Resource Program, University of Nebraska, Lincoln, Nebraska
    表1 同定された主要食物アレルゲンをはじめ、各種のアレルゲンが同定されており、リスト化されています。
  • IV. 発症頻度の少ない動物由来のアレルゲン性食物などもリストアップされています。
  • このレポートの最後は、遺伝子組み換え作物に対するアレルギーがまとめられており、ちょっと気になっていた点だったので、ベースの知識となる部分ではとても参考になりました。

ここから先は、ニッケルアレルギーを含む金属アレルギー関連の論文で参考になったものをリストします。

  • 食物除去療法を始めるにあたって (別府大学食物栄養学部 高松伸枝)
  • 全身型金属アレルギーの食事指導―食物アレルギー代替食品・健康食品におけるニッケル、クロム、コバルト、スズ、亜鉛含有量について―(高松伸枝、有田孝司、村松毅)
    ニッケルの含有量が食品別に明記されているため(P162~)、これを参考に何を除去するか決めています。
  • 金属アレルギーの診断と金属制限の実際 (有田孝司)
    P46に金属別に何が含まれているか記載されており、P48には食品別にニッケルをはじめとする金属がどのくらい含まれているかがまとめられています。
  • 日本皮膚科学会ガイドライン 接触皮膚炎診療ガイドライン
    自分のやったパッチテストの内容が詳しくかかれているので参考にしました。また、P1775には、食物による接触皮膚炎 部位・症状・原因が表11にまとめられており、ここから、私のアレルギーの原因はなんだったのか、最初のあたりをつけました。
    ガイドラインとしてまとめられているものは、基礎知識として理解しておいた方がいいと考えています。

このほか、海外の文献も大量にチェックしましたが、今すぐに役立ちそうな日本語の文献は以上です。

Photo_9
最後に、アレルギー・免疫学をもう一度ちゃんと学びなおそうと「わかりやすいアレルギー・免疫学講義」扇元敬司著を読みました。

生体防御・免疫システムからはじまり、免疫異常・アレルギーでは、アレルギー・アナフィラキシーの概説、対策・予防・検査法、アレルゲン、花粉症、アトピー、気管支ぜんそく、食物アレルギーなどが解説されており、さらに、職業アレルギー・心理免疫アレルギーと、これは私の知らない領域だ!ということまで書かれておりました。

たくさんの参考文献が載っており、これらをだいたいチェックしたところで、食事をどうすればいいのか、ある程度分かったなぁ~という気分になりました (◎´∀`)ノ

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