思考力Exercise 1: オリエンテーリングの発想を使う

オリエンテーリング

絵:かたぎりもとこ

「仕事の全体像をつかむなんて難しくってなかなかできない!」「問題解決しなきゃいけないのはわかっているけどなかなか実践できない!」と思っていらっしゃる方は少なくないと思いますが、実は、誰でも子供の頃から何気なくやっていることです。

 

小学校時代に誰でも一度は経験するオリエンテーリングを思い出してみてください。オリエンテーリングは、地図とコンパスを使いながら、目的地までいかに早く到達するかを競うスポーツです。競技スタートと同時に配られる地図には、目的地であるゴールと、コントロールと呼ばれる途中で通過すべきポイントが書かれています。

 

参加者は、スタート地点からゴールまでどのコントロールをどの順序で通って行けば良いか、目的地までの全行程を頭に入れなければなりません。コントロール間のルートは決められていないため、最短時間で到達できるルートをチーム内で決めていきます。そして、コントロールを通るごとに、全行程のどこの地点まで達していて、次のコントロールまではこのくらいある、と現状をモニターしながら前進していきます。

 

予定よりも進行が遅れている場合には、まず、なぜ予定通りに進行していないのか分析します。たとえば、地図で見たよりも上り坂が急で歩くスピードの予測が違っていたとか、体調が悪い人がいて全体のスピードが落ちてしまっているとか、途中で道に迷った、などです。そして、それらの課題を考慮したうえで、どこで時間を短縮し、決められた時間内にゴールにどうやって到達するのか、その方法を検討し、ルートを変えていきます。

 

このオリエンテーリングは仕事に非常によく似ています。たとえば、最短距離が最短時間で達成できるとは限りません。オリエンテーリングでは、コントロール間のルートは自由に設定できるので、地図上の最短距離を選べますが、実際には、斜面が急で登るのに時間がかかるため、足腰が強いトップクラスの人間だけが集まっている場合は斜面をテンポよく登っていけるかもしれないけれども、様々なメンバーからなるチームの場合は、最短距離ではなく迂回ルートを通ったほうが早く次のコントロールに到着できたりする場合があります。

 

また、前の日の天候が悪く、現場に到着してみると地図には載っていなかった大きな水溜りがあって、そこを通過するのが難しい場合もあります。このように、チーム構成を考え、現場でのトラブルを避けるために、あらかじめ設定した最良と思われるルートをさらにベターなルートに変更しながら前進していくのは、仕事の現場にとてもよく似ています。

 

また、全体像をとらえたあとで、小さなパーツに分け、そのパーツごとに進めていく点でもオリエンテーリングから学ぶことができます。目的地まで効率よく到達するには、スタート地点で最良と思われる全体像(ルート)を設定し、進行度合いを測るための通過ポイントを設定しモニターしていきます。全体像と通過ポイントを設定することで、トスフルに遭遇しても、現場に出て状況が違っていても、全行程を変更するのではなく、通過ポイント間のルートを設定しなおすだけで、目的地までたどり着くことができます。

 

私も全体像を把握するのは難しいことだと思い込んでいた時期がありましたが、オリエンテーリングで使った方法を思い出してから、意外とできるかもしれないという気持ちになってきました。

 

たぶん、私にとってのオリエンテーリングの例のようなものが、みなさんにもあるはずです。小さい頃から経験したことを思い返し、全体像把握をしていた経験がないか考えてみてください。きっと誰でも何かそのような経験があるはずです。それができたのですから、仕事にも応用ができるはず。

 

何かを始めるときには、全体像が見えているか?を自分に問い掛けてみましょう。そして、全体像が見えるように、整理してみましょう。そして、修正ポイントを決め、全体での位置づけを確認しながら、物事を進めていきましょう。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


おすすめ記事

ページ上部へ戻る