(Theater)三枝成彰:オペラ『KAMIKAZE-神風-』

Opera_kamikaze前職のボスの堀紘一さんが原作で三枝成彰が作曲したオペラ『KAMIKAZE-神風-』の世界初演のため、上野の文化会館へお出かけ。

作曲=三枝成彰
原案・原作=堀紘一
脚本=福島敏朗
演出=三枝健起
美術=千住博
照明=沢田祐二
アリア歌詞(知子と愛子のみ)=大貫妙子

キャスト=ジョン・健・ヌッツォ、小川里美、大山大輔、小林沙羅、坂本朱 ほか

指揮=大友直人
管弦楽=新日本フィルハーモニー交響楽団

小学校の頃、私の伯父が特攻隊へ志願したと知り、なぜその年齢で、特攻隊へ志願できたのか、それを知りたくて、その人の血でつづった戦時中の日記を見せてもらったことがあります。

自分は国のために喜んで命を捨てられるのか?

私は躊躇すると思うし、なんとか生き延びる方法を考えるでしょう。

今回、この舞台を見て、堀紘一さんも同じような気持ちをもっていらっしゃったのだと知り、仕事で見ていた彼からは想像ができず、驚きでいっぱいでした。

戦後67年。この第二次世界大戦は、私たちの世代では過去のものと忘れ去られようとしていますが、先日のアルジェリアでのテロをはじめ、決して、戦争は私たちの生活とは無縁のものではないことを、そして平和のために一人ひとりがなにができるのかもっと考えるべきだと、このオペラを見ながら改めて思いました。

陸・海軍合わせて1万4千人もの特攻隊員が非業の死を遂げました。その裏には壮絶な葛藤があったと思いますし、彼らもそうやって死にゆくことを喜んでしたわけではないと思うのですが、そして、こうした行動を行き過ぎた愛国心とか、戦争中の狂気の中で行われた出来事というのはちょっと違うのではないかと思うのですが、これをどう表現していいのか、言葉にできない、悲しい思いのこみあげてくる作品です。

多分、戦争を知らない世代に対して、第二次世界大戦という悲劇があったことを忘れないように、今の我々があるのは、彼らが居たことを忘れないようにというメッセージなのではないかと思いました。

今回、ウィーンで知り合った小林沙羅さんが愛子役で出演されていました。啓声会でご一緒している渡辺大さんも出演されていました。同じ時代に声楽をやっている同世代(同世代としてくくるのはちょっとくくり過ぎかもしれませんが)が出演して、どのように演じるのかもとても興味がありました。

激情に駆られて歌う沙羅さん。声がオケにかき消されてほとんど聞こえなかったのが残念ですが、その表情は客席からも十分に見え、大事な人を亡くす悲惨さが表現されていて、こちらも泣きそうになってしまいました。

素晴らしい作品です。今後もたくさん上演されることを願います。

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