私の読書術(2):手を抜いて年間800冊の本を理解する
社会人になってから、20代前半の頃の私の本の読む量は、年間10冊程度。しかも、海外出張中の移動時間に読む本を入れて、です。普段は、ほとんど本を読んでいませんでした。BCGで仕事をしていた27歳頃に、あまりの無知さから「本を読め―」と上司に怒られ、読書を始めました。
現在は、仕事関連の専門書だけで、年間1000冊以上、多い時は3000冊近く読んでいるのでいますが、BCG時代に身につけた本の読み方で、速読法を使わずに、必要な知識を仕入れています。
読書をはじめた当初は、読むスピードが非常に遅く、1冊読み終わるのに、3週間近くかかっていました。そして、内容もうろ覚えで、「読んだけど、いったい何が書いてあったんだっけ?」と文字を追うだけの読書でした。
ちょうどそんな頃、ボストンからワシントンDCへの飛行機の中で、あるアメリカ人のビジネスパーソンと隣の席になりました。離陸直後、その人が鞄から取り出したのは、ド派手なオレンジ色の雑誌。ものすごくかっちりとしたスーツのお兄さんには不似合いな表紙だったので、思わず覗き込んだら、「これは、ベストセラーの要約をした雑誌なんだよ」と教えてくれました。数ページなので、雑誌というより、機関紙。
本そのものを持ち歩くのも重いし、全部読む時間がないので、とりあえず要約版だけ読んで、内容を頭に入れているそうです。そして、「これは全部読もう」と思った本は、要約版に照らし合わせながら、大事なところを確実に押さえる本の読み方をしていると教えてくれました。
本を読みなれるまで「要約サービス」を使って、大事なポイントを掴む
そのスーツのお兄さんから教えてもらったのが、Executive Book Summariesというサービスです。月に一回、二冊の本の詳細要約と数冊の一ページレビューが載っている20ページ程度の雑誌が届きます(現在は紙ではなく、オンライン)。
詳細要約は一冊8ページ。「こんな長い本をどうやって8ページにまとめるんだ!」と最初は驚いたものです。
これを読むと、ベストセラーの本で必ず押さえなければいけないポイントが分かります。なにしろプロの編集者の手によって書かれていますので、確実。
要約を読む→要約ポイントを本で読む→全体を等して読む
これ以降、本を読むときには、まず、要約(サマリー)を読む。そして、サマリーを理解した上で、サマリーに書かれているポイントだけをピックアップしながら本を読む。そして、最後に全体を通して読むという読み方をしていくようになりました。
一見、何度も本を読み返しているように見えますが、実はこれが「本のどこに重要なことが書いてあるのか」を学ぶのに、もっとも簡単な方法だったのです。
まずサマリーで全体像を掴んで、もつとも学ばなくてはいけない点だけを拾い読みする。何冊か読むうちに、「次はこの辺に重要なことが出てきそう」と、よく読みこむべき場所と、手抜きして読む場所の、メリハリがついてきます。
さらに、絶対に抜かせない大事なポイントは、サマリーに要約されているので、ポイントを確実に読んでいくテクニックが身に付きます。
日本語での要約サービスは、TOPPOINT
最初は英語で読んでいたのですが、当たり前ですが、英語よりも日本語のほうが速く読めます。日本語で同じようなサービスがないかなあと探してみたら、ありました。株式会社パーソナルブレーンがTOPPOINTという雑誌を出していて、毎月100冊前後の新刊の中から10冊を厳選して、一冊あたり4ページに要約してくれています。
そんなわけで、BCG時代は、Executive Book SummariesとTOPPOINTを併用。1年ほどで本の読み方をマスターした後、TOPPOINTだけで十分なので、Executive Book Summariesを解約。3年後には、TOPPOINTもやめてしまいました。その頃までには、年間800冊の本を読み、内容を掴むことができるようになったからです。
サマリーを使い始めた頃は、「そんなものに頼って!」と先輩には怒られましたが、別にどういう読み方をしようが、中身が分かってればいいんじやないかと思っています。積読ばかりで「早く読まなきゃ」とストレスをためるよりも、手抜きをしながら、本の内容を身に付ける方法がおススメです。
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