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Blueジャクリーン ノヴォグラッツ著の「ブルーセーター: 引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語」を、GE時代の友人に勧められて読む。

内容紹介(Amazon.co.jpより) 
 

◆世界が注目する社会起業家、貧困と闘うベンチャーキャピタル「アキュメン・ファンド」CEOの渾身の力作、待望の邦訳!!◆


界には40億人もの貧困層の人々がいる――人類が抱える最大の課題ともいうべき「貧困」を解消するため、革新的な方法で取り組んでいる女性がいます。ジャ
クリーン・ノヴォグラッツ。チェースマンハッタン銀行での華やかなキャリアを捨て、「世界を変える」ためにアフリカに渡ったときは、まだ25歳でした。彼
女は、「何も知らずに」やってきた途上国で多くの失敗をしながらも、現地の人々とともに、貧困層のための金融機関の設立や、貧困女性の雇用を生む事業に取
り組み、大きな成果をあげます。同時に、先進国の人々の「援助」がもたらした最悪の結果を数多く目にします。

従来型の国際協力や貧困対策
の限界を知ったジャクリーンは、その半生を通じて、「ほんとうに世界を良くするには何が必要なのか」を深く深く考えていきます。金融界でのキャリア、スタ
ンフォード大学MBAで得た人生の師とその知見、ロックフェラー財団で学んだことと人脈、そして貧困の中でも強く美しく生きているアフリカ女性たちから教
えられたこと・・・さまざまな学びを活かして、「社会的投資」による問題解決をめざす「アキュメン・ファンド」が生まれました。

世界を良
くしたいと願う人々の「意志あるお金」を集めて、途上国で貧困解消・事業創出に取り組む起業家たちに投資する――アキュメン・ファンドのこのモデルは、数
多くの懐疑的見方を覆し、大きな成功を収めています。インドで25万人の貧困層に安全な水を提供している起業家、27万人以上の農民の収入を倍増させた農
業用品デザイナー、アフリカで年間2000万人もの貧困層にマラリア対策の蚊帳を提供している起業家・・・その巨大なインパクトは世界的な注目を集めてい
る所です。

先進国と途上国、富裕層と貧困層・・・引き裂かれた世界を「革新的なビジネスアイデア」と「投資」によってつなぎ、「貧困のな
い世界」=「だれもが自分自身の人生を生きられる世界」をつくろうと闘う、ジャクリーンと起業家たち。本書は、そうした彼らの夢と挑戦の軌跡を、ジャク
リーン自身が綴った作品です。ルワンダ大虐殺や911同時多発テロなど各地で遭遇した事件や冒険のエピソードも満載。きわめて示唆深く読みごたえのある
400ページは、きっと一度読み始めたら終わりまでやめられなくなるでしょう。

◆「社会事業に少しでも興味のある方には、絶対にお薦めしたい一冊」――NPO法人・テーブル・フォー・ツー代表 小暮真久氏(『「20円」で世界をつなぐ仕事』著者)が熱烈に推薦!◆

 
久しぶりに本を読みながら泣いた。

世界を変えたい、そんな思いだけで、なんでこんな若い子が、アフリカに飛び込んでいけるんだろう!? そして、私は何を目的に生きているんだろう??

本の前半は、彼女の幼さが見え隠れし、こんな子に何をいったい変えることができるのだろうか!?と思ったほどです。そう、20代の頃の私と同じ。思いだけで、世界が変えられない。経験も必要だと彼女はそこで悟っていきます。だから、「忍耐強い」資本であるアキュメンファンドを作れたんだと思います。

1990年代後半、私は国連に入りたくて、必死で勉強していた時期があります。結局、国連にはいかず、ボストンコンサルティングでビジネスパーソンとしての基礎力を磨くことを選んだのですが…  

その頃、必ずと言っていいほど論文のテーマは、ルワンダを舞台にした「フツ族か、ツチ族か」。民族抹殺の意味もよく分かっていなかったのだと思います。この本を読みながら、いろいろなことが記憶の彼方から引き出されるのと同時に、「私は何もみておらず、結局新聞の上でしか物事を理解しようとしていなかった」と思い知りました。

大学4年生の時に、当時寮長をしていた私は、ルーマニアから脱出するために、難民キャンプにいた子がルームメートになりました。寮長が「もっともひどい状況の人とルームメートになり、その子をサポートし、アメリカ社会に慣れることを支援する」というのがミッションにあったからです。彼女は毎晩のように泣き叫ぶ。それは、5歳の彼女が難民キャンプでレイプされ、その時から、10歳を過ぎてアメリカに移民できるまでの間の記憶を無くしてしまっているにも関わらず、悪夢を見るからなのですが、難民キャンプの壮絶さなんて、まったく分からず、のんきな日系アメリカ人のおねーちゃんをやっていました。

この本を読んだからといって、私が難民キャンプで生活したわけでもなく、民族抹殺を経験したわけでもないのですが、この本にはそれをやった両サイドの人間の言い分と、そして、生きることも殺すことも両方やった人たちのことが、鮮明に描かれていて、「本当のことなんて、現場を見たり、現場に近いところにいないと、わからないんだ」と改めて教えてくれました。

私は、自分が事業再生をしたり、買収したり、アライアンスを組んだりするときには、気軽に飛行機に乗って「現場見ないとわからん!」というくせに、こういうことは、読んでその気になってしまっているのです。

自分がすべてをみることはできないけれど、自分が読んだり聞いたりしているものが、二次的、三次的情報なのだと、認識するのと、そうでないことの差はとても大きいのだと、改めて思いました。

「信念」。何よりも大切なことだと痛感します。自分の中に確固たる信念がないのだと最近悩んでいたところに友人が紹介してくれた本だけに、若い頃にもあったように、熱く、燃えたぎる信念を持って、生きていきたい。そう、思いました。

最後に…この本の締めくくりの言葉がとてもよかったので、そのまま引用します。

今日、私たちは、共同体の地図を再定義し、共通の人間的価値のために責任を分かち合うことを受け入れつつある。人間はみな病棟に作られたという観念を、地球上の一人ひとりに実現する機会が訪れたのだ。それには、考え始めたばかりのグローバルな枠組みや商品が必要だ。ウォーレン・バフェットやビル・ゲイツのおゆな成功した起業家と肩を並べるほどの貢献はできなくても、私たちはだれでも、ほんとうの地球市民として考えるーそして行動するーことにうよって、自分なりの貢献ができる。地球上の私たち全員にとって、世界は一つしかない。そして、ともに思い描く世界で、未来を創り出すのは私たちに他ならない。 (p. 401)

貧困向け支援でも、ビジネスとして永続するか、自立できるか、地域に貢献するかをチェックし、現場に耳を傾け一緒にビジネスを作っていく点は、多くの経営者が学べる点だと思います。

素敵な本を紹介してくれたH氏に感謝!!

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