魔笛
朝から雪で、「マリア・カラス最後の恋」を見に行く予定をキャンセルして、代わりにおうちで「魔笛」を見る。
作品紹介(goo映画より)
第一次世界大戦下の塹壕で、若い兵士タミーノは毒ガスに命を狙われ気絶する。それを救ったのは夜の女王の侍女を務める三人の従軍看護婦だった。タミーノの前に現れた夜の女王は、さらわれた娘パミーナの救出を依頼し、彼に魔法の笛を託す。タミーノは兵士パパゲーノと共にザラストロの城砦へと向かい、そこでパミーナを見つけた。二人はすぐに恋に落ちるが、タミーノは愛を成就するため、困難な試練に立ち向かうことになる。
「魔笛」はモーツァルトの晩年に作られた彼の最後のオペラであり、また彼の最高傑作とも言われている。ストーリーの軸は若い男女の恋物語だが、モーツァルトが会員だったフリーメイソンの教義や、ゾロアスター教の善悪二元論なども盛り込まれ、興味はつきない。今回の映画化は、『ヘンリー五世』『ハムレット』などシェークスピア作品の映画化の第一人者である英国の巨匠ケネス・ブラナーが演出を担当。舞台を中世のファンタジックな世界から第一次世界大戦下のヨーロッパに移し、平和への祈りをテーマにした9.11以降の今日的な作品に脚色。CGを多用した映像は大胆で、とくに冒頭のワンシーン・ワンショットは見るものに強い印象を残すだろう。
モーツアルト生誕250周年にあわせて作られている映画で、劇場に見に行くつもりが見そびれたので、DVDで。映像がキレイなので、やはり大きなスクリーンで見ることができたらよかったなぁ〜と思いました。
#これだけエンタメ生活推進しているのに環境が悪い我が家。
夜の女王を歌う身としては、まず、英語の歌詞が非常に気になる。ドイツ語以外で魔笛を聞くのは初めてというのもあるのだけれど... ドイツ語特有の堅さが英語になったとたんになんだかなぁ...と思ってしまう。苦労してドイツ語で歌っているので、英語で歌えるならかなり楽になるのは間違いないのだけれど、それでもやっぱり原語で聞きたいなぁ〜〜
映画の作り方としては、とっても面白くて、カメラワークをすごくうまく使っているので、オペラではあり得ないような場面を映像化できていて、魔笛の魅力を出しているところがすごい!オペラを初めてという方に勧めたい映画。こういう映画を見たら、オペラってすっごく楽しいものなんだ!と思ってもらえると思いました。
そういう意味では、クラシックな人って工夫が足りないんだと思いました。先日、市川海老蔵の「通し狂言 雷神不動北山櫻」を見たときに海老蔵がすごいと思ったのは、古典として残すべきところは残し、今の時代に理解してもらいやすいように変えるところは変える点。
映画の話に戻ると、私が夜の女王を歌うからというひいき目ではなく、夜の女王のキャラクター設定がすごく良かった。モーツアルトの性格を考えると(以前ここに書いた記憶があるのですが、アマデウスで夜の女王のアリアを作曲しているシーンが出てくるのですが)、こういう面白い表現方法もあるのか〜と、すごく納得。今までで見た夜の女王の中で一番好き!
パパゲーノはどんな時にでも愛すべきやつなのですが、この映画の設定でも愛すべきやつ! 魅力的なキャラクターが多い映画は好きです :)
さて、こういうコミカルな面白さもある反面、シリアスな場面もあり、なんだか中途半端。シリアスにするならシリアスに、コミカルにするならコミカルに。どちらかにした方が良かったんじゃないのかなぁ〜と、思いました。また、平和のメッセージを前に出したかったのでれば、それも中途半端にしか伝わらなかったんじゃないかなぁ〜、と、思います。
とにかく、1つの作品にいろいろと詰め過ぎで、だから中途半端になってしまった作品のように思います。
総合評価:(★★★★★ そうは言っても、このオペラをここまで楽しく見やすくして、オペラの楽しさを伝えている点は、声楽をやるモノとして見習うべき点が多い!!!!)
追記: 夜の女王のリューボフ・ペトロヴァの高音はさることながら、低音を深い音であれだけキレイに出せるのに感動しました。いったいどういう練習をしているのだろう!?
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