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「そんなにたくさん本を読んでいて、どうして中身を覚えていられるの?」よく聞かれる質問です。

 

2015年3月9日の日経新聞の夕刊にも「ビジネス書 モノにする」という記事がありましたが、読んだものの内容を忘れてしまうというのは、多くの人に共通する悩みなのかもしれません。

 

結論から言うと、私は覚える努力はしていません。むしろ覚えることは、諦めています。ここ7-8年ほどの私の仕事は、エンターテイメントからエネルギーや医療、さらに軍事まで、多岐にわたっています。

 

そのため、業種個別の専門知識を求められる量が膨大で、片っ端から本を読んでも、詳細まで覚えていられません。また、年と共に記憶力は悪化し、一週間前に封を切って一口食べたアイスクリームのことを覚えていられないほど。冷凍庫をあけて、「あれ?これ、いつ開けたんだっけ?」と考え込むのも日常茶飯事。二〇代の頃には、こんな日が来るなんぞとは、思っていませんでした。

 

業界が多岐にわたり、しかも読む量が膨大すぎて、読むだけでも大変なので、2015年1月24日に書いた「英語で本や論文を読む苦痛を減らす事前準備6ステップ」など、効率よく読破したり、覚える手助けになる方法を、自分なりに考えてきました。今回は、効率よく本を読み、その内容を覚えておくための4つのステップのご紹介です。

 

ステップ1: 目的を決める

 

「なぜその本を読みたいか?」本を読み始める前に、目的をはっきりさせます。

 

たとえば、太陽光発電関連の書籍を読むときに、「太陽光発電の仕組みを知る」のか「五年後最も市場が大きくなつている、太陽光発電の素材を知る」のかでは、覚えておかなければいけないポイントが異なります。

 

歴史小説の『坂の上の雲』(司馬遼太郎著)を読むときも、「エンターテイメントとして息抜きで読む」のか「秋山真之の勉強法を学ぶ」のか、「リーダーシップ論を学ぶ」のか、目的を設定します。設定する目的によって、飛ばし読みするところ、じっくり読むところ、何度か読み直すところが変わってくるからです。

 

ステップ2 本の全体像を梱む

 

旅行へ行くのに地図を入手せずに行く人は、あまりいないでしょう。知らないところヘ地図も持たずに行けば迷子になります。でも、迷子になっても、地図があり、抜け出す手段を持っていれば、安心ですよね。

 

本の全体像を理解するために、まず本の地図にあたる目次を見て、本をぱらばらとめくり、あとがきを読んで、「この本はこんなことが書きたかったのね。それを書くために、こういう構成にしたのね」という視点を持ってください。

 

もし、下調べもせずにいきなり読み始めて、分からないことだらけだつたら、本を読むこと自体を止めてしまうでしよう。それを避けるために、いきなり読まずに、全体像を桐んでから読む。

 

それをやっている最中に、本の中身が想像できて、その本に対する興味がなんとなく湧いてくるはずです。こうすることで、私は挫折を避けています。

 

ステップ3 日的の答えを探す

 

自分が設定した目的の答えを探しながら、本を最初から読みます。

 

「自分が知りたいと思っていたことが書かれているか?」

 

書かれているなら、その答えをメモしていきます。メモができない場合は、写真のように、答えのところに、色分けした付箋を張り付けていきます。使っているのは、coco fusen CARD。ミニサイズの付箋です。

 

私の場合は、いろいろな分野を読んでいるので、「太陽光発電」なら「エネルギー関連」のノートに、「周産期医療体制における人員配置」についてならば「医療政策」のノートというように、分野ごとにノートを分けています。こうすることで、「前に本を読んで、書き出した記憶がある。どこだっけ?」と探すときに、探しやすくなります。

 

ステップ4 要約文や本に関するレビューを書く

 

自分なりに読むと、この本にはこういうことが書かれている、という要約をします。五行でも六行でも構いません。本を読んだ直後に、自分の目的に沿ったまとめを作っておきます。

 

私はアナログ人間なので、自分のためだけに書く場合は、手書きでノートを作っています。そしてノートをどこからでもアクセスできるように、すべてスキャンし、DropboxやEvernoteなどのオンライン・ストレージ・サービスに保存しています。

 

クライアントと共有する場合は、手書きノートからパワーポイントにまとめていきます。パワーポイントを使わない場合は、あらかじめ人と共有すると分かっている場合は、メールで送るため、最初からデジタルにしています。

 

一番いいのは、誰かに読ませることを前提に、ブログなどに備忘録として残しておくこと。

 

人が読むと思えば、「わかりやすく書こう」「興味を持ってもらえるように書こう」という意識が芽生えるから、よりよいレビューができます。

 

残念ながら、私は仕事で読む本のまとめがブログ掲載できません。どういう分野の仕事をしているのかが分かるような本のレビューをブログに掲載すると、機密が漏れたりするリスクがあるからです。

 

ブログに掲載するのは、仕事にまったく関係のない小説や、友人の書籍の広報を兼ねたレビューのみ。それでも、誰が見るか分からないので、気を遣って書きます。

 

こうして、自分の言葉で書いたものは、自分の身になっています。そして、自分が設定した目的について、大体覚えていられます。

 

もし、書いた内容自体を忘れてしまっても、ノートに書いたということは覚えている場合が多いです。後でノートに戻ってチェックすることができるので、忘れてしまっても、安心です。

 

尚、読み捨てする本(流行っているから一応読んでおこうというような本)や、エンターテイメントのために読む小説などは、この読み方はしておりません。あくまでも、仕事で必要な本を読むケースです。

 

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