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Photo_4映画化で話題になっている太宰治の「ヴィヨンの妻」。映画を観に行く前に原作を読みました。

内容(「BOOK」データベースより)
新生への希望と、戦争を経験しても毫も変らぬ現実への絶望感との間を揺れ動きながら、命がけで新しい倫理を求めようとした晩年の文学的総決算ともいえる代表的短編集。家庭のエゴイズムを憎悪しつつ、新しい家庭への夢を文学へと完璧に昇華させた表題作、ほか『親友交歓』『トカトントン』『父』『母』『おさん』『家庭の幸福』絶筆『桜桃』、いずれも死の予感に彩られた作品である。

15歳の夏、自宅にあった太宰治作品をすべて読んだことを思い出しました。あの頃は、この標題となっているヴィヨンの妻をはじめ、太宰作品に出てくる女性像が理解できず、もっと分かり易い「風と共に去りぬ」にハマりました。
年を重ねて、改めてヴィヨンの妻を読み直し、夫婦にしか分からない、その機敏な心の動きを見事に捉えている作品だと思いました。
「男には、不幸だけがあるんです」 虚無感漂うこの台詞、夫は何を思いながら、そして、何を伝えたくて言ったのだろうか?
別れた人の顔が思い出されました。
妻の生きて行く強さが、才能はあるけれど弱さ故にお酒に溺れてしまう夫と対比され、よけいに強く感じてしまうのだと思います。自分のことを振りかえると、やはり私も強い女なんだろうなぁ...諦めるということを知らないし。
若い頃には分からなかった太宰作品の良さがなんとなく分かり始めてきたので、他の作品も読んでみようと思います。
(総合評価:★★★★☆ 名作には理由がある)


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