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Photo_2新国立劇場のシーズン開幕はヴェルディの「オテロ」。シェイクスピアの有名な小説を題材にしたヴェルディの最高傑作と呼ばれる作品です。フィリッツァが指揮をするということで、ちょっとわくわくしていたのですが、なんと体調不良で3幕から降板。どろどろした嫉妬に狂う男が音楽で表現でききれていないのは、非常に残念。
マルトーネの演出が「炎と水」をテーマに、舞台にヴェネチアを再現してしまったのは見応えあり。まさか本物の水を使っているとは最初は思わず。が、明らかに水。水の中をばしゃばしゃと歩き回るのは、歌手は大変だったんじゃないかなぁ。浅瀬になっているところは、非常にうまく活用されていましたが、深くなっているところは、子供が花を投げ込んだり、ハンカチが捨てられてイアーゴがそれを拾ったり、その程度。どうせなら、ヴェネチアらしく、船を出してしまったら、もっと雰囲気が出たのでは!?と、観客は制限を無視して、言いたい放題(笑)。舞台にヴェネチアを再現するのはいいのですが、歌手が1人きり、あるいは2人と、少人数の場合、不必要に舞台が広く見えてなんだか寂しく感じてしまうのが、残念。また、コーラスが全員出てきてしまうと、水の場所だけ狭くなっているので、舞台がすごく狭く、しかも平面に見えてしまうのがほんとに残念。でも、真ん中部分が動くようになっていたり、細部まで細かく作っているので、こういうところはすごく良かったです。映画出身の方なので、今後もいろいろな作品で挑戦してください!
嫉妬に狂い自分が作り出した毒で破滅するオテロをもっと演じて欲しかった... イヴェーリは、高音も低音も非常にキレイに出ていて、逆にそのキレイさがマイナスになっていたように思います。「死ぬ」「殺される」恐怖があまり表現できていなくて非常に残念。しかし、声がすごく可憐でキレイで、純真な乙女を非常によく演じていたと思います。柳の歌は、もう少し悲壮感は欲しかったけれど、非常に良かったです。
新国立のレベルがずいぶんあがっていて、今年のシーズンはとても楽しみです。

◇あらすじ◇
15世紀末、ヴェネツィアの将軍オテロがトルコ艦隊に勝利し、嵐の中キプロス島に帰還する。カッシオが副官に昇進し、それを妬む旗手のイアーゴは、オテロを破滅させるべく謀略を企む。まずはカッシオを失脚させ、オテロへの取りなしを妻デズデーモナに頼むようカッシオに入れ知恵する。さらにデズデーモナの落としたハンカチを手に入れ、カッシオに持たせる。妻とカッシオの不貞を信じ込んだオテロは嫉妬に狂い、デズデーモナを絞め殺すが、真実を知り自害する。
【指揮】リッカルド・フリッツァ 【演出】マリオ・マルトーネ
【美術】マルゲリータ・パッリ 【衣裳】ウルスラ・パーツァック 【照明】川口雅弘
【舞台監督】大澤裕 【企画】若杉弘 【主催】新国立劇場
§キャスト§
オテロ…ステファン・グールド
デズデーモナ…タマール・イヴェーリ
イアーゴ…ルチオ・ガッロ
ロドヴィーコ…妻屋秀和
カッシオ…ブラゴイ・ナコスキ
エミーリア…森山京子
ロデリーゴ…内山信吾
モンターノ…久保田真澄
合唱…新国立劇場合唱団
管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団


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