神様のカルテ
記事のアップがずいぶんと遅れてしまいました。
話題の本、夏川草介氏の「神様のカルテ」を読みました。
内容(「BOOK」データベースより)
神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。
久しぶりに、とてもいい本に出逢えました。この本を読みながら、地方都市の大学病院の救急で働く幼馴染を思い出しました。先日出張先でたまたまその病院の近くに行き、何年かぶりに幼馴染に会ったのですが、救急医療問題だけでなく、地域医療の問題や、そして大学病院という中の組織の話について、いろいろと話しました。それらのことが、この本の1冊に凝縮されており、現役の医師だからこそ書けた本なのだと思いました。
ここに出てくる登場人物が、みな、それぞれに個性があり、しかし、非常に人間らしい、まともな人たちだと思います。くるくると忙しく回り続ける中で、誰かが立ち止まって後ろを振り返ると、その人にぶつかって、混乱が増大していく様は、私達の忙しい日常生活を絶妙に表していると思いました。しかし、その中で、小さな心遣いが、どれだけの人の心を潤しているのか。
最近、とても忙しい生活を送りながらも、なんだかんだと精神的な余裕があると思っていたけれど、人の心まで潤せているのかな?と、振り返ったりしました。
主人公の奥様が非常にいい味を出していて、私は登場人物の中で一番好きです。忙しい毎日の中で、変わらない何かを求めているのは、人は同じようなものなのだと肯定される気持ちになりました。
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