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今週のテーマは、「『力による現状変更』への警鐘と、個人の『生存戦略』としての解像度」

2026年の幕開けは、ベネズエラへの電撃的な軍事介入や中国資本への排除命令など、国際秩序のOSが「法の支配」から「力の論理」へと激変する衝撃的なニュースで始まりました。 一方で、個人の生活に目を向けると、単身高齢者のリスクやセルフメディケーションの課題など、制度の谷間で「どう生き残るか」という切実な問いが突きつけられています。

マクロな力学が個人の暮らしを呑み込もうとする今、私たちはどこまで「責任の解像度」を保ち、「複線的なリアリズム」で未来を設計できるのか。 4つの視点から、2026年最初の知的ジャグリングをお届けします。

▶ 1.  国際秩序と地政学 — 「力の論理」への違和感を言語化する

主権国家への急襲や資本の強制排除。かつての「当たり前」が崩れる時、私たちは感情的な「スカッとする解決」の裏にある、長期的なリスクを見極める必要があります。

  • 米がベネズエラ攻撃、大統領拘束 (共同通信/2026/01/03)
    「独裁者だから何をしてもいい」という空気で主権国家への武力介入が正当化されることに、強い違和感と恐怖を覚えます。法の支配を「力の論理」で上書きする前例は、巡り巡って国際社会全体のハードルを下げ、日本の安全保障にも影を落とします。今、問われているのは「誰が勝ったか」ではなく、この混乱をいかに早く市民の生活再建に繋げられるかという、統治の責任です。
  • トランプ米大統領、中国系に半導体事業売却命令 (Jiji Press/2026/01/03)
    「技術の強さ」ではなく「資本の出自」が企業の生存を決めるフェーズに突入しました。完了済みの買収すら巻き戻される現実は、所有構造そのものが安全保障リスクと見なされる時代の象徴です。企業はガバナンスや株主構成を含めて、どこの陣営のサプライチェーンに属するのかという「所有の解像度」を極限まで高める必要があります。

 🧠 ジャグリングポイント: 独裁打倒という大義 × 国際法の形骸化 → 「結果が良ければ手段は問わない」という思考の罠に陥らず、力の支配がもたらす中長期的な不確実性をどう直視するか。

▶ 2.    産業と戦略 — 「点」から「面」へのポートフォリオ経営

単一のプロダクトや技術に依存する危うさを脱し、複数の要素を束ねて「エコシステム」として勝つための設計図が求められています。

  • 【解説】「20兆円」構想と市場の冷静さ (NewsPicks編集部/2025/12/28)
    コンテンツを「単発のヒット」で終わらせず、日用品や観光までを「IP周辺ビジネス」として束ねる。韓国がK-Beautyで証明した「文化の文脈に産業を乗せる」設計こそ、日本が目指すべきポートフォリオ経営の形です。アニメを起点に関連産業を芋づる式に勝たせる戦略まで踏み込めるか。そこが基幹産業化への分岐点になります。
  • 米メタ、汎用AIエージェントの中国マヌス買収へ (Reuters/2025/12/30)
    「モデル戦争」から「エージェントと業務フローの戦争」へのシフトが鮮明になりました。Metaの動きは、デジタル従業員層を一気に押さえ、企業の業務インフラそのものをロックインしに来るものです。日本企業は、どの業務を汎用プラットフォームに任せ、どこを自前で差別化するのか、そのアーキテクチャの線引きを急がねばなりません。

🧠 ジャグリングポイント:特定技術・IPの強さ(点) × 産業全体の統合(面) → 優れた技術をいかにして「使われ続けるプラットフォーム」や「束ねられた産業ポートフォリオ」へと昇華させるか。

家族前提・自己責任前提で作られた古い制度が、単身化や高齢化という現実を前に悲鳴を上げています。

  • 孤独死でも生活苦でもない、50代独身者の「長生きリスク」 (Diamond Online/2026/01/02)
    「誰にも迷惑をかけずに終わりたい」という個人の願いは、実は「迷惑をかけ合えるインフラ」が社会に欠如していることの裏返しです。単身高齢者のリアルから逆算した、家族に丸投げしないケアの設計。高齢者施策を、家族前提の古いモデルから、コミュニティとプロで支える「新しい社会OS」へとアップデートする時が来ています。
  • 養命酒、米KKRに優先交渉権を付与 (Bloomberg/2025/12/30)
    ロングセラーブランドが上場を続けることの限界が露呈しています。四半期決算の重圧から離れ、一度資本をリセットして「ウェルネスブランド」へと再定義する。PEによる買収を単なるコストカットではなく、ブランドの「第二の人生」を作るための戦略的投資にできるか。日本の老舗ブランドが生き残るための、一つの試金石になる案件です。

🧠 ジャグリングポイント: 家族前提の古い社会制度 × 単身化・高齢化の現実 → 公助・共助の機能不全を、いかにして民間資本や新しいコミュニティ設計で「持続可能なインフラ」へと書き換えるか。

情報過多とAI依存が進む時代だからこそ、自分の価値観で選び、自分の頭で考えるという「プロセス」にこそ、人間としての納得感が宿ります。

  • 「個人投資家75.5%が投資判断にAIを活用していない」 (マイナビニュース/2025/12/26)
    30年の投資経験から言えるのは、AIは情報の整理はしてくれても、私の「志」までは決めてくれないということです。応援したい企業の未来を信じ、納得感を持って資金を投じる。このオーナーシップ(思考の筋力)を持ち続けることこそが、数字やアルゴリズムに支配されない、個人としての自由と強さの源泉になります。
  • 【ベストバイ2025】コスパと満足度で見る「賢いお金の使い方」 (NewsPicks編集部/2025/12/28)
    「なんとなく買う」消費が消える一方で、自分の基準で選び抜いた「自分を支えてくれるプロダクト」には、より確かな価値が宿るようになっています。大量消費から「価値観ベースの消費」へ。モノの数より、日々のコンディションを整えてくれる「納得のいく選択」を積み重ねていきたいものです。

🧠 ジャグリングポイント:AI・アルゴリズムによる最適化 × 自分の価値観による選択 → あらゆる判断が代行される時代に、私たちは「自分が心地よくいられる軸」をどう守り抜き、納得感のある人生を編み上げるか。

2026年のスタートを象徴するのは、「巨大な力学の暴走」と「個の生存戦略の深化」です。

ベネズエラへの介入や米中資本戦争といった「力の論理」が支配する世界では、もはや既存の教科書は通用しません。企業も国家も、所有構造や責任の所在を「解像度」高く再設計し直すリアリズムが求められています。

一方で、老後のリスクやお年玉に象徴されるお金の教育、そして自分のコンディションを守る消費。これらは一見、小さな日々の振る舞いに見えますが、実は巨大なシステムに呑み込まれず、自分自身であり続けるための「思考の筋トレ」そのものです。

「誰かが決めた正解」を待つのではなく、自ら問いを立て、熟睡した脳で判断し、自分が納得できる価値に張る。 そんな、強くてしなやかな「個」の集積こそが、2026年という激動の年を乗り越えるための、最も確かな希望になると信じています。

来週もまた、社会を知的に読み解くヒントをお届けしていきます。

知を解きほぐし、問いを編もう。

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