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前回こちらでも書きましたが、11月、12月は有吉佐和子月間を実施中。
12月はコンクールなどがあったため、本を読むペースが少し落ちているのですが、読もうと思っていた有吉佐和子さんの本はだいたい読めました。
Photo_6複合汚染:40年代に公害問題が今よりももっと問題になっていた頃に、この小説を発表。農薬問題を扱っているけれども、農薬以外にも消費者の体を蝕むものはたくさんあります。食品の安全性が問われている今だからこそ、読む価値のある本だと思います。そして、結局、消費者が勉強して自分で選択するようにならなければいけないのだと心から思う1冊。
Photo_7恍惚の人:私が読んだ初めての有吉佐和子作品。大学生の頃、日本史の授業でこの本が課題図書になっており、英語に翻訳されていたものを読みました。大学卒業から10年。改めてこの本を読んでみると、昭和47年にこの小説が発表されてから、あまり老人介護問題は進歩していないのではないかと思います。有吉佐和子さんの作品は、その時代の問題をあぶり出す小説が多く、人間としてどう生きるべきか、どう死ぬべきかを考えさせられます。
Photo_13紀ノ川:女性3代の物語。女としての幸せとは何かを問うてくる作品です。自分の生き方を母の生き方と思わず比較してしまう。今を生きる女性たちに読んでもらいたいと思いました。
Photo_8芝桜:正子と蔦代という2人の女性の生き方が対照的です。花街の世界に溺れることなく自分を常に持って生きる正子と生きるために男に身を任せる蔦代。その2人の間にある友情。女の友情は脆いと言われるけれど、そうだろうか? 友情の形なんて様々なんだと思う1冊。正子の潔さはあっぱれです。
Photo_12非色:人種偏見を取り上げた作品。人種だけではなく、階級、学歴、出身など、様々なところで起きている「偏見」と「差別」。人の弱さをこれだけあぶり出せる有吉佐和子さんはすごいと感動する作品。彼女のすべての作品に通じますが、今の時代でも全く同じ問題が同じように起きている。まったく古くない。時事問題を扱っているはずなのに古さを感じないところがすごいところです。
Photo_9地唄・三婆―有吉佐和子作品集:短編集。壮絶な「三婆」。ある男、妻、愛人、妹の共同生活が繰り広げる女の醜さ。怖い。自分の中にも同じような感情があるはず。今は見えてないけれど、怖さを反面教師にしないとダメだと思った作品。
鬼怒川:織物の産地として名高い結城の里が舞台。織物の話はものすごく面白い。有吉佐和子さんのリサーチ力が分かります。戦争が終わって戻ってきたというのに、主人公チヨの夫も子供も孫も黄金埋蔵伝説に取り憑かれて、不慮の死を遂げてしまう。まともな心まで変えてしまう戦争とは何なのか。
平和に見える今の日本の生きる私たちに考えさせる作品です。有吉佐和子作品に多いのですが、この主人公チヨはこれだけ運命に翻弄されながらも逞しく生きるので、私もがんばろうという気になります。
Photo_10仮縫:戦後のオートクチュールの世界が舞台。主人公の野望と葛藤が、今のキャリアウーマンと呼ばれる人たちに共通している。人間の心って時を経てもあまり変わらないのだと改めて思います。面白かった!!

有吉佐和子月間総括。すごい作家!!ここまで彼女の作品をまとめ読みしたことないのですが、今から30−40年前に書かれている作品でも、全く古さを感じず、人間としてどう生きるべきか?というのを考えさせられる作品ばかり。絶版になっているものも少なくないので、是非復刻してもらいたいです!
#絶版になっているものが多かったので図書館と神保町の古本屋にずいぶんとお世話になりました

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