かたみ歌
朱川 湊人氏の「かたみ歌」を読みました。
内容(「BOOK」データベースより)
忘れてしまってはいませんか?あの日、あの場所、あの人の、かけがえのない思い出を。東京・下町にあるアカシア商店街。ある時はラーメン屋の前で、またあるときは古本屋の片隅で―。ちょっと不思議な出来事が、傷ついた人々の心を優しく包んでいく。懐かしいメロディと共に、ノスタルジックに展開する七つの奇蹟の物語。
短編集なのでまず読み易い。しかし、読み進むと、短編だけれども、すべてが繋がっていることが分かる。そして、最後に「あぁ〜、そういうことだったのか」と納得する。さすがすぎる。「花まんま」よりもずっとずっと構成力があがっていて、懐かしい、でも、ちょっとホラーちっくな不思議な空間を描き出しています。
ホラーが苦手な私でも、ヘーキで読みすすめられますので、ホラーちっくと表現しましたが、実在すると怖いですね。実在しない小説の世界だからこそ、楽しめるのだと思います。
個人的には、「ひかり猫」が一番好き。オチはそっちだったかっ!と、ちょっとやられた気分。そして、人は一人で生きてるわけじゃないのだと、心がきゅっとなります。
どの話もじーんとくるものばかり。友達にプレゼントしたくなる本ですね。夏におススメの1冊です。
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かたみ歌/朱川 湊人
都電が走る東京下町の“アカシア商店街”。はずれの覚智寺近くのアパートに、目の出ない小説家志望の男は年上の女性との新しい生活のために越してきた。商店街のラーメン屋近くを通り過ぎたとき、刑事のようにラーメン屋を観察する若い男を見る。
芥川龍之介に似た古本屋の主人にそのことを話すと、そのラーメン屋でごく最近殺人事件があったとのこと。見かけた若い男は犯人なのか、刑事なのか…。(紫陽花のころ)
昔から身体の弱かった啓介は、知的でなんでもできる兄を慕っていた。アカシア商店街のあちこちに啓介がこの夏を越せずに…