【本】宮沢賢治「ポラーノの広場」
宮沢賢治といえば、「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」「注文の多い料理店」が有名ですが、この「ポラーノの広場」はあまり知られていません。今回読んでいるのは、小林敏也さんの素晴らしい「絵」がついているものです。新潮文庫から出ているものも持っているのですが、こちらは「小林敏也さんの絵」に惚れてゲットしてしまいました。
内容(「MARC」データベースより)
賢治の童話の中でも長篇に入る「ポラーノの広場」。その物語を小学校3年の時に読み、夏休みの宿題で62枚の紙芝居にクレパスで描いた。その時と画が、童話とともに今、カラーでよみがえる。
残念ながらあまり知られていない作品なのですが、実は、宮沢賢治ご本人が自作題名列挙メモの中に以下のように書いている作品なのです。
少年小説
ポラーノの広場
風野又三郎
銀河ステーション
グスコーブドリの伝記
少年小説がどういうものなのか、今となっては分かりませんが、代表作の1つとして「ポラーノの広場」を捉えていたのでしょう。でも、あまり著名ではない。それはとても残念なことです。個人的には、ここ最近、宮沢賢治の作品ではこれが一番好き。
理由は、幸せはすぐ側にある、というメッセージがあちこちにちりばめられているから。10-20代の頃に読んだときには、「自分の理想の広場を実現する物語」と捉えていたのだけれど、それは目的を持って生きる心の支えになっていたのだけれど、最近は「理想の広場は遥か彼方ではなく、自分のすぐ側にあった」と読むようになっています。
ちょっとメルヘンちっくな優しい文体は、こんな時代だからこそ、心に優しく入り込んでくるのかもしれないなぁ、若い頃には分からなかった(まだ若いと思いたいけど、もう若い部類には入らないと分かっているから)作品の根底に流れる温かさに惹かれるんだと思いました。
しかも、このポラーノの広場は、「ポランの広場」と呼ばれる「曲」がついているのです。もともと文中でも歌が流れているのですが、小説にはきちんと楽譜がついていて、それを演奏できるように青島さんが編曲されています。いつか演奏会で歌ってみたいなぁ〜と思いながら、楽譜をめくる日々です。
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