上智のコミカレ「生殖医療・倫理・法」 第二回「出生前の生命をめぐる法と倫理」

第二回は、奥田先生の「出生前の生命をめぐる法と倫理」でした。

過去形で書いているのは、なんと授業に出席できず、友人からレジュメをもらってレビューしたから。

レビューした内容なので、もしかすると講義とは若干異なっているかもしれませんが、勉強したことを書いておきます。

1: 問題状況の認識

  • 出生前の「ヒト」とは!? という点で、日本の現行法の定義では、「ない!!!」という点がポイント。報告書やガイドライン(ソフト・ロー)はあるというのが日本の現状。刑法、母体保護法、クローン技術規制法、教材所収の各種ガイドラインがあるにはあるけれど。。。 
  • 議論の咀嚼としては、胎児よりも胚の方が手厚く保護されているのが日本の現状!?
  • 「生きること」の全体の意味を問うことが重要なのではないか?という疑問の投げつけ

2: 様々な議論(特に堕胎=人工中絶論争を手掛かりに)

  • ありうる人工中絶に関する法規制:全面禁止:無期制:期間規制:適応規制
    …背景に「胎児感」の違いに由来(しかし、それに尽きるのか!?)
  • 人工妊娠中絶をめぐる「政治」…選挙、裁判官選出、ロビーイング… 日本も潜在的には問題になっている
  • 様々n対立軸で語られるけれども、真性の対立か!?
  • 望まない妊娠に対して…どうすれば解決できるか?
  • 「生きることの意味」
  • 胎児vs 母体…利益相反(J.トムソンの例)
  • プロライフ=人間の(生命の)尊厳 vs プロチョイス=女性の権利・自由との対立図式?
  • 妥協案…プライバシー権による「授権/遊び」、利益考量、線引きによる中絶肯定
      ロウ判決、ロナルド・ドゥオーキン「ライフス・ドミニオン」
  • 反論…プライバシーの前提としての「生命/人間の尊厳」
      カトリシズム:受精の瞬間から人間であり、中絶=殺人
      ハンナ・ヨナス「責任という原理」
  • 袋小路… 宗教戦争か暫定協定か?

このあたり、いろいろな判例をベースに、様々な理論の展開をしているところが、興味深く、また、教科書をちゃんと読んでいないと、フォローできない内容となっているのが、苦しいところ。

この後、先生の私見の展開が繰り広げられ、刑法第29条 堕胎の罪、母体保護法、そして、内閣府総合学術会議生命倫理専門調査会の「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」について言及されています。

現状はどうかわかったけれど、矛盾をはらんだモノであることは、理解でき、そして、自分をどこに位置づけるのか、それは合法なのかどうなのか!?と、考えさせられる内容でした。

今週もとってもヘビーな授業のようでした。

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