上智のコミカレ「生殖医療・倫理・法」 第八回「新生児の医療をめぐって」

第八回は、生育の梅澤先生の「新生児の医療をめぐって」でした。

再生医療のお仕事で、梅澤先生とはご一緒していたので、当日、授業の始まる前に「梅澤先生!」とお声をかけたら、「なんで、ここにいるの?プロじゃん。なんで、この授業にいるのぉ。A先生には休んでっていったのに、秋山さんが来ているのを知ってたら電話したよぉ」と言われてしまいました。

いいえ、プロではございません。生殖の仕事をしていたので、医療的にはそこそこ詳しいですが、現場で治療をしていたわけではございませんゆえ…(以下省略)

とはいえ、この回の授業、明らかに、私はとっても有利でした。なぜならば、不妊治療については、世界最先端のところでトレーニングを受けていたので(そしてデータにアクセスがあったので)、梅澤先生の出されるデータはほとんど見たことがあり、また、その先のデータも手元にあるから。先生に「あとで送りますぅ~」と軽くお話しできるのも、世界トップクラスの教育のおかげです。

この授業を受けたお友達が、「なんでうちらこの年になってこの授業受けてるんだっけ?」と言われて、「私が誘ったから」とまじめに答えてしまいましたが、彼女が言いたかったのはきっと40にもなる私たちがこのクラスを取っても、「早く子供産まなきゃ~」とならないからでしょう。

卵子は老化します。老化すれば、妊娠はしにくくなりますし、遺伝子の異常も起きやすくなります。

この数日前に、東尾理子さんが、21トリソミー(ダウン症)の可能性があると診断を受けたことを発表し、話題になりましたが、こういう仕事をしていれば、「1/82だったら、平均より確率は低いね!」となります。母親の年齢と全妊娠中のトリソミーの割合は、自然流産率を15%と計算しても、35歳を過ぎれば、どっと増え、1/4くらいになります。

だからといって、私は21トリソミーについては、私の中にだって21トリソミーの細胞はあり、それの出現率の問題(30-40%以上なのかそうでないのか)なのであり、東尾理子さんの議論の展開には、法的な問題も含め疑問を持たざるを得ません。(驚くべきことに、梅澤先生が同じお話しをされたのは、業界の人だから!?)

梅澤先生はこの後Duchenne型筋ジスの患者様を持つご両親のお話しをされ、羊水検査で分かったとしても、子供を産む親が少なくないということを語っていらっしゃいました。そして、大野明子さんの「子供を選ばないことを選ぶ~いのちの現場から出生前診断を問う」をご紹介されていました。

さらに、興味深かったのが、梅澤先生が御指摘された、生殖医療を受けた人の子供についての件でした。統計的には、高齢出産者が多いため、優位さはないが、臨床の現場から見て、トラブルを抱えて生まれてくる子供が多い。その理由は、エピジェネティックスの異常に起因する。多い病気として、ダウン症、Beckwith-Wiedemann症候群、Pender症候群、Angelman症候群、Silver-Russell症候群、過性新生児糖尿病、胎児の過成長、子宮内発育不全、胎盤形成異常だそうです。

人間での統計的データは、高齢出産のため、きれいに出ていませんが、マウスでは出ていることを梅澤先生はご指摘されていました。

私は、基本的に妊娠した女性が決めればいいことだと思っています。しかし、日本の堕胎については、経済的か母体の安全性の2点において合法化されているものであり、そこに優勢遺伝については言及されていないのです。その点について、多くの人が、あいまいにしたまま暮らしており、問題に直面したときに、法的云々、生命倫理云々をすっ飛ばして、議論を始めるところに、問題があるのではないかと思いました。

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