【本】Training Soprano Voices
アメリカにいた頃にレッスンを見てもらっていたリチャード・ミラー先生の本「Training Soprano Voices」を読み直しました。
内容(Oxford University Pressより)
A young dramatic soprano should not be forced into a soubrette mold, nor should the soubrette soprano be assigned dramatic tasks. Although all soprano voices have common characteristics, each type has unique features that require a particular approach in teaching. Training Soprano Voices addresses this issue directly by providing a complete and reliable system for training each type of soprano voice. Designed as a practical program for singers, teachers, and voice professionals, it couples historic vocal pedagogy with the latest research on the singing voice. The book emphasizes the special nature of the soprano voice and the proper physiological functioning for vocal proficiency.
ミラー先生は昨年他界され、もうレッスンを見ていただく機会は無いため、先生が残した数々の本を読み直しながら、さらに、レッスンの時に注意されたことを思い出しています。
この本は、声楽を教えることを考えている先生方におススメしたい本の1冊です。多くの先生が、ソプラノの声の違いを聞き分けることなく、また、若いうちから重い曲を歌わせて、生徒の声をダメにしてしまったりします。生徒が自分のおかれている状況をよく理解した上で、レッスンのときに加減して歌うとか、ついている先生から学びたいことをはっきりと意識してレッスンに出ているなど、そういうことが出来るなら、どんな先生に習っていてもいいのかもしれませんが...若い生徒がそこまで理解してレッスンを受けることを期待するのは難しいと思います。
同じ声質の人を教えるのはそれほど難しくないのですが、違う声質の人を教えるのは、難しいはずなのに、その違いをあまり意識せず、自分が習ってきたやり方を押し付けるところも、よくないなぁと思ったり。基本的な発声を教えてくださる先生はいいのですが、そうでないと声をつぶします。先生も生活の糧に教えているのでしょうが、やはり、誰かを教えるのでしたら、それなりに責任持って欲しいよなぁとも思うことが多々あります。
イタリア留学中にスザンナ・リガッチ先生から、もっと声にあうものを選んで歌った方がいいとアドバイスを受け、私がこれから数年間歌うべき曲をリストしてくださった事がありましたが、ミラー先生も若い頃は、声に負担のかからないイタリア歌曲を好んで教えてくださいました。若いうちに、同じ中西部にいたため、ミラー先生に学ぶことができて、良かったと思います。そして、ミラー先生が数多くの著作物を残してくださっていて、本当にありがたいです。ちなみに、先生は、テノール向けの本も数多く書かれております。
この本は、若い音楽家の方にはおススメできません。読むのが難しい内容で、経験が少ない人がこの本をベースに練習をしようとしても、分からないところが多いと思います。本を理解する上で、ガイドとなる人がどうしても必要です。私も最近「先生が言いたかったことはこういうことだったんだー」と、先生からレッスンを受けて20年以上やっているのに、新たに理解できることがあるからです。そういう意味では、若手の人向けの本を先生が残してくださらなかったことは残念です(もしかしたらあるかもしれないけど、私は出会ったことがまだないです。。。)
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